Friday, December 31, 2010

デング熱

SDIM2614 on Flickr表題の「デング熱」、報道では感染する旅行者が増えているとのこと。実は僕も、ちょうど一年前に発症し、かなりキツい体験だったので、記しておこうと思います。

経緯を簡単に説明すると、昨年のクリスマス直前からバリ島に撮影に行きました。普段の撮影では、その土地ごとに存在する独特な世界観を記録しようという意図が中心で、動き回りながら撮ることが多いのですが、今回の撮影は、いつもよりもテーマを絞る必要があったので、到着した翌日からジャングルに分け入り、三脚を立てて被写体が現れるのを待つ、という感じでした。リゾート地として知られるバリ島ですが、ホテルやヴィラの敷地を一歩出ると、そこには信じられないほど、命あふれる大自然が存在しています。その圧倒的な自然に包まれて、じっと息を潜めて自分の気配を消していたわけですが、そのときにデング熱を媒介する蚊に刺されてしまったようです。

そう、デング熱は蚊によって感染する病気です。でも、潜伏期間があり、蚊に刺されたら即時に発症するわけではありません(というのは、発症してからドクターの説明で知りました)。なので「痒いわぁ」とか刺されたところをポリポリ掻きつつ、全然平気なつもりで普通に撮影のスケジュールをこなしました。

さて、年が明けて、ジャングルに分け入っていたウブドのヴィラから、定宿のスミニャックの「The Legian」に移動し、「やっぱ海は大きいなぁ」とか言いながらインド洋に沈む夕日を眺めながらカクテル飲んだりしてホゲホゲしてたんですが、翌日の午後から、なんか熱っぽいというか、風邪を引いたかも…というような、胸にもわもわした違和感も感じたので、クリニックに風邪薬をもらいに行きました。

その時の症状は、まさに風邪でした。風に当たりすぎたのかな…という程度に思っていて、ビタミンと風邪薬をもらって「水を沢山飲んでね」ということで、「はいはい」と、安易に考えていました。ところが薬を飲んでも症状は一向に治まらず、ときどき強い悪寒に見舞われながら微熱が続きました。そして、その夜に、突然に、とんでもない高熱が出ました。

気温32度のバリにいるのに、もう寒くて寒くて仕方ないのです。もちろん部屋のクーラーは止めました。それでも寒いのでテラスにある椅子のところに出てみても、ガタガタ震えるほど寒い。これは高熱が出てるんだと思って、東京を出発する時に着ていた厚手のウールのセーターを着てみましたが、それでも寒い。仕方ないので、その上にバスローブを羽織り、さらにホテル仕様の大きなバスタオルを5枚も使って身体中を包んでみましたが、それでもガタガタ震える…というような高熱でした。自分の過去の体験と照らし合わせてみると、たぶん40度を超えていたんだと思います。

翌朝、ふらふらになりながら再度クリニックに行って「たすけてくれー」と、その症状をドクターに伝えたところ、「蚊に刺されたりしたか?」と聞かれ、「ジャングルでいっぱい刺された」と答えながら腕や足の刺された箇所を見せるとドクターの表情が一変し、聞き取れないインドネシア語で看護婦さんと真剣に討議っぽいモードになりました。

僕としては、とにかく解熱剤を注射してくれぃ!という感じだったのですが、ドクターが「マラリアかデング熱の可能性があるので、いますぐ血液検査をしたほうがいい」と突然言うわけです。「えぇマラリア!」と、ちょっと驚きました。さらに「その検査はこのクリニックでは出来ないので、デンパサールの病院で行う。今から段取りするから」と真顔で言うわけです。

まじかよと思いましたが、みんなとても親切で、言われるままに手配された車に乗って「SURYA HUSADHA」というデンパサールの病院に行きました。病院には外国人向けのインターナショナルフロアーがあり、とても清潔で、治療設備は整っているような感じでした。ロビーまでお医者さんが来てくれて、ひと通りの聞き取りを終えたのち、とても広い個室に通されて、そこのベッドに寝かされ、血液を採取。検査結果が出るまでの間は、ベッド正面の大きな液晶テレビでCNNを見てました。

で、血液検査の結果、血小板が非常に減っているので、明らかに「デング熱」に感染している、という診断が下されました。しかし、そう、ここからが本題なのですが、「デング熱」の治療方法はないのです。文字通り、「無い」って言われました。マジかよって思ったのですが、なにも無いのです。発症してしまったら、もう身体が持っている免疫力と基礎体力と、ウイルスとの勝負しかない、という恐ろしい病気です。

幸いなことに、僕は自分の持っている免疫力のおかげで、翌々日には熱も序々に下がりはじめ、失血熱に進行せずに生還できました。でも、デング熱は、高熱が出るだけではなく、血小板が無くなっていく病気ですから、免疫力がない場合は、出血が止まらなくなって死に至ります。帰国してから、東京の病院で血液検査をしたところ、血小板が異常に減少していて通常の1割まで減っていました。みなさんも、海外では、どうか、蚊に刺されない対策をしてくださいね。

2 comments:

  1. Shinzoさんのバリでのデング熱感染を知ってから、同じように森に入る私は、長袖、長パン、防虫スプレーで身を守るようになりました。私の父は戦時中ビルマで感染し、帰国後も時々発熱に襲われることがありました。Shinzoさんはその後大丈夫でしょうか。

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  2. それがいいです。とにかく刺されないことが一番ですからね。一年経っての実感ですが、日常生活はなんともないのですが、やはり身体へのダメージは残っている気はします。でも元気ですよー。

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