Wednesday, February 22, 2006

Sony Bravia

アメリカで放送されたソニーのテレビ「ブラビア」の広告。専用サイトが立ち上がっている。シスコの街にゴムボールをブチまけたと一時話題になったが、改めて見直してみると、どうでもいい演出やら、ヘタくそなカメラワークやら、色感の弱さなどが目に付いて、なにがどうだという仕事には思えなくなってしまった。特に高解像度の150秒版を見た印象は正直がっかりである。やっぱりもっともっとタイトな構図にするべきだろうし、色が重なる場面ももっと鮮やかさを感じるフレーミングであるべきだと思う。そもそも、なんでわざわざこんな電信柱やら電線やらがごちゃごちゃしてるシスコの一角を選んだのかわからない。この程度の坂道は世界中どこでもある。光も弱いし背景になっている景色そのものは到底美しいとは言いがたい。僕なら迷わず京都とシチリアでやろうか…という情景が浮かぶ。しかしながら、こうした企画の裏側を、広告屋がさもありなんという勢いで偉そうに語っている態度には常に嫌悪感を覚えるのは僕だけだろうか。ソニーのマーケティング担当者が語るのはまぁいいのだけれど、それもソニーぐらいのブランドになると、僕は正直言って逆効果なのになぁ…と危惧してしまう。それは話がコーポレート・ブランディングの域での話なので置いておく。このケースでもソニーの広告ではなく「ブラビア」の広告なわけだから、モノを売るために何が出来るかが広告屋の仕事の中心であるべきだろう。僕の考える広告屋の仕事というのは、消費者に「よくわからないけど気がついたら買っていた」という状態にすればいい仕事であって、「どうよ、どうよ」と消費者に向かって広告屋が直接話しかけるのは僭越極まりない態度だと思うわけだ。そもそも仕掛け側は徹底的に黒子でいなけりゃ話にならないわけで、そりゃイケた仕事をしてます、賞も数多く取ってますというのは、保身のためには必要であろうし、名誉欲もあってもいいと思うわけだが、こうして広告の広告のようなタネあかしを自信満々作ってどうすんですか、なにやってるんですか、というのがホンネのところで腑に落ちないわけだ。