Friday, March 24, 2006
Yoichi Nagasawa
これは2004年に発表された作品だが、これを初めて見たとき、その美しさと完成度に息を呑んだ記憶がある。ファッションデザイナーの作品と言うのは、それこそ星の数ほどに作り続けられるもので、さらにそれがメディアを通じてのプロモーションに載るために、新鮮だと思ってもいつのまにか記憶の彼方に消えてしまう。それこそがファッションの王道であり、そうだからこそファッションなのだが、この作品は忘れがたいものを持って今も僕の脳裏に焼きついている。まさに視覚を通じた経験を得たと言えるだろう。このデザインを形にする執念と言うか、努力と言うか…。こうしたイメージが頭の中に浮かんだとしても、それをこの完成度に昇華させるのは並大抵のことではない。ものすごい力を感じるとともに、これが具現化され、こうして自分に強いインパクトを与えてくれたことに感謝の念を持つ。さらにこの作品を見ていて、どこか気のようなものを想念するのだ。そうしたものを日本人が表現していこうとすることはとても自然なことのようにも思う。欧米の世界観は見えるものを見えざるものへと拡張する方向を持っているように思う。それに対して、見えざるものを見る能力と言うのだろうか。そうした感覚は日本人が古来から持ったもののようにも思えるからか、この作品に対したとき、ただ美しいとか、繊細だとか、優美だと言うことだけでなく、ゆらめくものを見いだして心酔してしまうのかもしれない。
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