Monday, April 10, 2006

Penn Works

僕がアーヴィング・ペンという写真家のことを知ったのは、実はそれほど早くはなかった。たぶん28歳ぐらいだったのだと思う。当時は今のように情報が溢れているわけではなかった。検索と言うツールもまだまったく手に入らなかった時代だ。初めて自分が海外ロケにアシスタントディレクターとして出向いたときのフォトグラファーだった福島氏が、東京の柿の木坂に「ペンスタジオ」という写真スタジオを建てた時に遡るのだと思う。スタジオの完成披露のお祝いに訪ねたとき彼はリングライトで撮られたあの名作「Flowers」について色々と僕に語ってくれた。五味さんの無二の親友であり、彼とパリで一緒に貧乏ながら写真を学んだ福島氏には、写真に対しての確たる基礎があり、同時に彼が静物写真から考えたアプローチを持って人を撮るところに僕は多大な影響を受け、僕のその後の写真に対する考え方の基礎を教えられたように思っている。以後、彼とは何度も撮影した。ロケに行くたびに、彼が考える絵づくりのために考えている視線をなぞることは、後々僕がアートディレクターとして写真をディレクションして行く上で重要な勉強だった。ペンのことはまた改めて書くことにしよう。でも、この一枚の写真はペンの写真の中でも好きな一枚だ。

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