DP3 Merrillサンプルギャラリーの撮影メモも、今日で第六弾。最後になります。今日はDP3M-36番からです。
DP3M-36
いつもは一人で撮影されているセイケさんにとって、ずっと後ろをついてきて、時には待たせる僕のような存在は、あきらかに邪魔者だったと思います。でも、そこは紳士のセイケさんですから、「あっち行け」とか、「もう来るな」とかは絶対に仰らないわけです。そんなある日、僕は朝から用事があって宿を出ることが出来ず、セイケさんとは別行動でした。セイケさんは、足手まといな僕がいなくて、きっと清々しておられたのではないかと思います。でも、この日はずっと小雨が降っていて、セイケさんが撮影されているのかどうかもわからず、とにかく用事を終えて、午後に落ち合いました。そしたらセイケさん、随分と優しいのです(笑)。とてもご機嫌で、「今日はね、色々撮れたんだよ」と、カメラの液晶で撮れた写真を見せてくださるのです。そして、「カフェに入ろうか」と、これを撮ったプラハのカフェ・ルーブルに連れて行って下さいました(ここのホット・チョコレートはプラハで一番濃厚で美味しかったです)。恐縮しながらも、その時にお聞きした話は、「写真とは」の真髄に迫る話で、僕にとっては忘れられない時間となりました。これは、その時にセイケさんが頼まれた紅茶のポットです。とても暗かったので三脚を立て、ガラスコップに焦点を合わせて撮りました。絞りはF5.6です。自然なボケ感と、滑らかな質感描写が、ポット、グラス、カップの、それぞれの立体感を素直に記録しています。また、窓の外からの光も柔らかく、静けさを感じます。そして僕は、この写真を見るたびに、セイケさんから頂いた金言が、いまも蘇ります。
DP3M-37
プラハの街を縦横無尽に走る「トラム」こと路面電車。僕たちは毎日乗って移動していましたが、不思議なことに観光客が乗っているのを、あまり見ませんでした。彼らはどうやって移動しているのかわかりませんが、まぁトラムに乗らなくても旧市街を歩いて回るだけでも観光は十分に出来るので、そういうことなのかもしれません。とにかくトラムは便利です。停留所で待てばすぐに来ますし、どこに行くのもチョイ乗り感覚で、乗ったり降りたり。それぐらい煩雑に次から次と走って来ます。そんな中、石畳と線路の輝きのコントラストに魅せられていました。でもじっくり構えて撮っているわけには行かないのです。線路に立つと、すぐに後ろから電車が近づいてきて「ぽわーん」と警笛が鳴らされます。それに線路のところはクルマも走るので危険なのです。でも、ある日、クルマが来ない線路だけの場所を見つけ、撮っては歩道に戻り、また路面に戻って撮る、というのを繰り返して、これを撮ることが出来ました。構図としては、夕方の路面の、ほとんどモノクロームの絵で、あまりに構成的すぎるので、この構図の中に、通りすぎて行ったトラムの余韻の赤い色の光を入れようと粘りました。絞りはF4.5です。
DP3M-38
これは、アールヌーヴォーの代名詞のような存在の「アルフォンス・ミュシャ」がデザインした、聖ヴィート大聖堂のステンドグラスです。でかいです。巨大です。ディティールを撮りたかったので、近づけるだけ近づいて撮りました。他のステンドグラスにはない美しい色彩も、細かなガラスの質感も、ちゃんと写ってますね。この大聖堂の中は、写真はOKなのですが三脚は立てさせてくれません。どう考えてもブレると思い、お願いしましたが許可されませんでした。仕方がないので手持ちで撮ることにしました。そういうわけでこれも開放F2.8です。ISO感度を上げようかとも思いましたが、このベータ機では、こういう暗い所ではバンディング・ノイズが出ることを懸念していたので(この写真にも出ています)やめました。そして、こういう時に連写モードが役立ちます(笑)。左右のブレは写真的には致命的ですが、前後のブレはピント位置が違ってくるだけで、まだ救いようがあります。ですので、出来るだけ身体が横に揺れないように足を踏ん張り、あとは集中して撮り続けました。このベータ機ではなく、発売される本番機なら、ISO400 / F5.6ぐらいでも余裕で撮れるのではないかと思います。しかしこれ、微妙な色までホント良く写ったなぁ。
DP3M-39
セイケさんとの撮影は2012年11月30日に終了し、セイケさんは翌朝にプラハからイギリスに戻られました。僕はもう一日滞在し、ステンドグラスの写真の38番から夜景の42番までを撮りました。これらは、このサンプルギャラリーに掲載するための写真として撮ったもので、セイケさんと一緒に過ごした時間での写真以外に、もう少し色彩感のあるものや、建物、よりスナップ的なものも撮影しておかなければ…と、そういう感じで撮ったものです。そこで、セイケさんとの撮影では徹底的に避けてきた観光地に出かけました(笑)。そしてこの快晴です。セイケさんと撮影していた時には、一度も出なかった見事な青空が広がりました。これだけ明るいとブレの心配もなく、ある意味、気楽に撮れます。そんな気持ちを天が察したのか、真上をジェット機が真っ直ぐに飛んでくれました。飛行機雲にフォーカスを置くのではなく、手前のシルエットにピントを合わせました。絞りはF5.6です。これはノーマルに現像していますが、Fov Classicモードで現像すると空の青が際立ったのかもしれませんね。
DP3M-40
西陽に照らされる聖ヴィート大聖堂を見上げた図です。38番のステンドグラスを撮ったあと、大きな教会をぐるりと回遊し、表に出てきたところです。言ってみれば大聖堂の正面ですね。ただ、DP3 Merrillの「レンズ紹介」のページの一番下に、DP1 / DP2 / DP3の画角違いを載せましたが、DP3 Merrillは、これぐらい狭い画角なので、全体を撮るにはかなり下がらなければなりません。しかしこの大聖堂の前はそんなに広くないのです。サンプルギャラリーの10番の、遠景から撮った大聖堂の写真でもわかるように、周りは建物で囲まれているので引きがありません。仕方ないので、逆に寄って、正面のステンドグラス部分を撮りました。しかし写ってますね。保護用にかけられたネットの、網の線の一本一本が、すべて滲まずに描写されていて驚きです。他社のカメラだと、これと同じ画角で撮ると、おそらくネットの色と背景の色が近い部分は溶けてしまったように写ってしまいますが、そこはMerrillセンサー、さすがの描画です。それから、これは晴天ですがISO200で撮っています。その理由は白飛びを防ぐためです。このように直射日光が当たっていて、被写体に強いコントラストがある場合、ISO100のJPEG撮りでは白飛びが起こる場合があります(RAWで撮っていれば現像でかなり戻せる)。これはMerrillセンサーの実際の実効感度がISO100よりも若干高いことに起因しています。直射日光下では、ISO200で撮ることで回避出来る場合があることを覚えておいてください。
DP3M-41
DP3 Merrillと同時発表で話題になっているモノクロモードの写真です。あくまでもベータ機での撮影ですし、現像もPhoto Pro5.5のベータ版で現像していますので、これも「見本」という見方でご覧ください。この写真を撮った場所はプラハのアンジェル駅の裏通り、プルゼニスカーから南に少し行ったあたりです。プラハのマンホールは、紋章のある文様も魅力的なのですが、この鋳鉄のザラザラした質感が美しく、また石畳との対比もいい感じ。奥から光が差し込むのを待って撮りました。モノクロモードでの現像では、光の入り具合と、鋳鉄の鈍い輝き、この二点に絞って現像しています。Foveonのセンサーは、元々光を100%取り込んでいますので、X3FというRAWデータは、そのすべての光の情報を保持しています。ですので撮ったときに生成されるJPEGデータでの階調や、ハイライトなどは、あくまでも暫定的な現像結果でしかありません(またJPEGでは白飛びが起こりやすいのです)。そして色分離せず「すべての光」の情報をモノクロームでコントロールするわけですから、カラーの現像よりも、より突っ込んだ印象操作が可能です。これは次のSIGMA Photo Pro 5.5がリリースされたら、是非みなさんに試して頂きたいところです。ちなみにこの写真の元のデータは、またFlickrにアップしますね。まったく印象の違う絵ですので、現像でこんなに出来るのかと驚かれると思います。■追記:Flickrに元の写真をアップしました。Flickrのは撮ったまま現像したデータです。
DP3M-42
さて、長々と書きつづけてきたDP3 Merrillサンプルギャラリーの撮影メモも、最後の写真になりました。この写真は、マーネスーフ橋の上から、カレル橋を撮ったものです。プラハは夜になると主だった建築に美しい照明が当てられます。それもよく考えられていて、照明の光源が上手く隠されていて、夜でも写真が撮りやすいような配慮がありました。このあたりはさすがです(京都や奈良の、あの無神経な照明は考え直してもらいたいものです)。そういうわけで夜景を撮りたいと思っていましたが、中々絵になる光景に出会いません。そこにカメラを向けても、ただ照明の当たった古い建物、でしかないわけです。そんなことから川面に光が映り込む光景を撮ることに決め、カフェ・スラヴィア側から王宮を狙ったり、ストジェレツキー島から見てみたりと、色々歩いた結果、このマーネスーフ橋から見た光景に決めました。ISO100で4秒露光です。空に伸びる照明のフレアが美しく、評価測光での±0から露出を少し開けて一度撮りましたが、左の建物に白飛びが出たので、その両方を鑑みて露出を-0.3下げて撮っています。それでもこのバックライトの感じがちゃんと写っていて美しいですね。また、この写真は色温度をあえて「蛍光灯」にして撮っています。この設定での色が、僕には最も美しく感じたのでした。異邦人を温かく受け入れ、色々な経験をさせてくれたプラハの街への感謝を胸に、最後の夜に輝くプラハを撮る。これはその時の僕の心の中の色です。
これでDP3 Merrillサンプルギャラリーの撮影メモは終了です。見ていただいて、DP3 Merrillってこういう感じなのかな、と、そういうニュアンスを少しでも掴んでいただけたらと、そういう想いで書きました。また、写真の解説というよりも、撮影記になってしまったものもありました。でも、旅の写真は、そういう「そのときの記憶」こそが重要なのではないでしょうか。それを元に現像し、記憶を焼き付ける。そしてその経験を自分のものにして、また次の旅へとつなげていく。そういう意味でも、「写真」というのは素晴らしいものですね。
最後に、心からセイケさんに感謝します。ありがとうございました!
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以下、この撮影メモのエントリーリストです。それぞれ7枚づつです。合わせてお読みいただけたら幸いです。
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 1
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 2
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 3
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 4
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 5
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 6(このエントリーです)
DP3M-36
いつもは一人で撮影されているセイケさんにとって、ずっと後ろをついてきて、時には待たせる僕のような存在は、あきらかに邪魔者だったと思います。でも、そこは紳士のセイケさんですから、「あっち行け」とか、「もう来るな」とかは絶対に仰らないわけです。そんなある日、僕は朝から用事があって宿を出ることが出来ず、セイケさんとは別行動でした。セイケさんは、足手まといな僕がいなくて、きっと清々しておられたのではないかと思います。でも、この日はずっと小雨が降っていて、セイケさんが撮影されているのかどうかもわからず、とにかく用事を終えて、午後に落ち合いました。そしたらセイケさん、随分と優しいのです(笑)。とてもご機嫌で、「今日はね、色々撮れたんだよ」と、カメラの液晶で撮れた写真を見せてくださるのです。そして、「カフェに入ろうか」と、これを撮ったプラハのカフェ・ルーブルに連れて行って下さいました(ここのホット・チョコレートはプラハで一番濃厚で美味しかったです)。恐縮しながらも、その時にお聞きした話は、「写真とは」の真髄に迫る話で、僕にとっては忘れられない時間となりました。これは、その時にセイケさんが頼まれた紅茶のポットです。とても暗かったので三脚を立て、ガラスコップに焦点を合わせて撮りました。絞りはF5.6です。自然なボケ感と、滑らかな質感描写が、ポット、グラス、カップの、それぞれの立体感を素直に記録しています。また、窓の外からの光も柔らかく、静けさを感じます。そして僕は、この写真を見るたびに、セイケさんから頂いた金言が、いまも蘇ります。
DP3M-37
プラハの街を縦横無尽に走る「トラム」こと路面電車。僕たちは毎日乗って移動していましたが、不思議なことに観光客が乗っているのを、あまり見ませんでした。彼らはどうやって移動しているのかわかりませんが、まぁトラムに乗らなくても旧市街を歩いて回るだけでも観光は十分に出来るので、そういうことなのかもしれません。とにかくトラムは便利です。停留所で待てばすぐに来ますし、どこに行くのもチョイ乗り感覚で、乗ったり降りたり。それぐらい煩雑に次から次と走って来ます。そんな中、石畳と線路の輝きのコントラストに魅せられていました。でもじっくり構えて撮っているわけには行かないのです。線路に立つと、すぐに後ろから電車が近づいてきて「ぽわーん」と警笛が鳴らされます。それに線路のところはクルマも走るので危険なのです。でも、ある日、クルマが来ない線路だけの場所を見つけ、撮っては歩道に戻り、また路面に戻って撮る、というのを繰り返して、これを撮ることが出来ました。構図としては、夕方の路面の、ほとんどモノクロームの絵で、あまりに構成的すぎるので、この構図の中に、通りすぎて行ったトラムの余韻の赤い色の光を入れようと粘りました。絞りはF4.5です。
DP3M-38
これは、アールヌーヴォーの代名詞のような存在の「アルフォンス・ミュシャ」がデザインした、聖ヴィート大聖堂のステンドグラスです。でかいです。巨大です。ディティールを撮りたかったので、近づけるだけ近づいて撮りました。他のステンドグラスにはない美しい色彩も、細かなガラスの質感も、ちゃんと写ってますね。この大聖堂の中は、写真はOKなのですが三脚は立てさせてくれません。どう考えてもブレると思い、お願いしましたが許可されませんでした。仕方がないので手持ちで撮ることにしました。そういうわけでこれも開放F2.8です。ISO感度を上げようかとも思いましたが、このベータ機では、こういう暗い所ではバンディング・ノイズが出ることを懸念していたので(この写真にも出ています)やめました。そして、こういう時に連写モードが役立ちます(笑)。左右のブレは写真的には致命的ですが、前後のブレはピント位置が違ってくるだけで、まだ救いようがあります。ですので、出来るだけ身体が横に揺れないように足を踏ん張り、あとは集中して撮り続けました。このベータ機ではなく、発売される本番機なら、ISO400 / F5.6ぐらいでも余裕で撮れるのではないかと思います。しかしこれ、微妙な色までホント良く写ったなぁ。
DP3M-39
セイケさんとの撮影は2012年11月30日に終了し、セイケさんは翌朝にプラハからイギリスに戻られました。僕はもう一日滞在し、ステンドグラスの写真の38番から夜景の42番までを撮りました。これらは、このサンプルギャラリーに掲載するための写真として撮ったもので、セイケさんと一緒に過ごした時間での写真以外に、もう少し色彩感のあるものや、建物、よりスナップ的なものも撮影しておかなければ…と、そういう感じで撮ったものです。そこで、セイケさんとの撮影では徹底的に避けてきた観光地に出かけました(笑)。そしてこの快晴です。セイケさんと撮影していた時には、一度も出なかった見事な青空が広がりました。これだけ明るいとブレの心配もなく、ある意味、気楽に撮れます。そんな気持ちを天が察したのか、真上をジェット機が真っ直ぐに飛んでくれました。飛行機雲にフォーカスを置くのではなく、手前のシルエットにピントを合わせました。絞りはF5.6です。これはノーマルに現像していますが、Fov Classicモードで現像すると空の青が際立ったのかもしれませんね。
DP3M-40
西陽に照らされる聖ヴィート大聖堂を見上げた図です。38番のステンドグラスを撮ったあと、大きな教会をぐるりと回遊し、表に出てきたところです。言ってみれば大聖堂の正面ですね。ただ、DP3 Merrillの「レンズ紹介」のページの一番下に、DP1 / DP2 / DP3の画角違いを載せましたが、DP3 Merrillは、これぐらい狭い画角なので、全体を撮るにはかなり下がらなければなりません。しかしこの大聖堂の前はそんなに広くないのです。サンプルギャラリーの10番の、遠景から撮った大聖堂の写真でもわかるように、周りは建物で囲まれているので引きがありません。仕方ないので、逆に寄って、正面のステンドグラス部分を撮りました。しかし写ってますね。保護用にかけられたネットの、網の線の一本一本が、すべて滲まずに描写されていて驚きです。他社のカメラだと、これと同じ画角で撮ると、おそらくネットの色と背景の色が近い部分は溶けてしまったように写ってしまいますが、そこはMerrillセンサー、さすがの描画です。それから、これは晴天ですがISO200で撮っています。その理由は白飛びを防ぐためです。このように直射日光が当たっていて、被写体に強いコントラストがある場合、ISO100のJPEG撮りでは白飛びが起こる場合があります(RAWで撮っていれば現像でかなり戻せる)。これはMerrillセンサーの実際の実効感度がISO100よりも若干高いことに起因しています。直射日光下では、ISO200で撮ることで回避出来る場合があることを覚えておいてください。
DP3M-41
DP3 Merrillと同時発表で話題になっているモノクロモードの写真です。あくまでもベータ機での撮影ですし、現像もPhoto Pro5.5のベータ版で現像していますので、これも「見本」という見方でご覧ください。この写真を撮った場所はプラハのアンジェル駅の裏通り、プルゼニスカーから南に少し行ったあたりです。プラハのマンホールは、紋章のある文様も魅力的なのですが、この鋳鉄のザラザラした質感が美しく、また石畳との対比もいい感じ。奥から光が差し込むのを待って撮りました。モノクロモードでの現像では、光の入り具合と、鋳鉄の鈍い輝き、この二点に絞って現像しています。Foveonのセンサーは、元々光を100%取り込んでいますので、X3FというRAWデータは、そのすべての光の情報を保持しています。ですので撮ったときに生成されるJPEGデータでの階調や、ハイライトなどは、あくまでも暫定的な現像結果でしかありません(またJPEGでは白飛びが起こりやすいのです)。そして色分離せず「すべての光」の情報をモノクロームでコントロールするわけですから、カラーの現像よりも、より突っ込んだ印象操作が可能です。これは次のSIGMA Photo Pro 5.5がリリースされたら、是非みなさんに試して頂きたいところです。ちなみにこの写真の元のデータは、
DP3M-42
さて、長々と書きつづけてきたDP3 Merrillサンプルギャラリーの撮影メモも、最後の写真になりました。この写真は、マーネスーフ橋の上から、カレル橋を撮ったものです。プラハは夜になると主だった建築に美しい照明が当てられます。それもよく考えられていて、照明の光源が上手く隠されていて、夜でも写真が撮りやすいような配慮がありました。このあたりはさすがです(京都や奈良の、あの無神経な照明は考え直してもらいたいものです)。そういうわけで夜景を撮りたいと思っていましたが、中々絵になる光景に出会いません。そこにカメラを向けても、ただ照明の当たった古い建物、でしかないわけです。そんなことから川面に光が映り込む光景を撮ることに決め、カフェ・スラヴィア側から王宮を狙ったり、ストジェレツキー島から見てみたりと、色々歩いた結果、このマーネスーフ橋から見た光景に決めました。ISO100で4秒露光です。空に伸びる照明のフレアが美しく、評価測光での±0から露出を少し開けて一度撮りましたが、左の建物に白飛びが出たので、その両方を鑑みて露出を-0.3下げて撮っています。それでもこのバックライトの感じがちゃんと写っていて美しいですね。また、この写真は色温度をあえて「蛍光灯」にして撮っています。この設定での色が、僕には最も美しく感じたのでした。異邦人を温かく受け入れ、色々な経験をさせてくれたプラハの街への感謝を胸に、最後の夜に輝くプラハを撮る。これはその時の僕の心の中の色です。
これでDP3 Merrillサンプルギャラリーの撮影メモは終了です。見ていただいて、DP3 Merrillってこういう感じなのかな、と、そういうニュアンスを少しでも掴んでいただけたらと、そういう想いで書きました。また、写真の解説というよりも、撮影記になってしまったものもありました。でも、旅の写真は、そういう「そのときの記憶」こそが重要なのではないでしょうか。それを元に現像し、記憶を焼き付ける。そしてその経験を自分のものにして、また次の旅へとつなげていく。そういう意味でも、「写真」というのは素晴らしいものですね。
最後に、心からセイケさんに感謝します。ありがとうございました!
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以下、この撮影メモのエントリーリストです。それぞれ7枚づつです。合わせてお読みいただけたら幸いです。
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 1
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 2
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 3
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 4
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 5
→ SIGMA DP3 Merrill : Sample Gallery: 6(このエントリーです)
shinzoさん、ご多忙ななか、連日のDP3解説、ありがとうございました。実に説得力があり、興味深い内容でした! ところで、今回のロケでは純正フードは使われたのでしょうか? また、最後の写真(DP3M-42)では三脚も使用されましたか? 教えていただけたら、幸いです。
ReplyDeleteslowkunoさん、こちらこそ、読んでくださってありがとうございます。
Delete純正フードはロケの時点では間に合いませんでしたのでKENKOの52mm+55mmのエクステンションフードを装着して撮影しました。セイケさんにも同じ仕様で撮影していただきました。
また42番の夜景は三脚を立ててISO100で4秒露光です。これを手持ちで撮れるぐらいにFoveonが高感度を強めてくれるとすごいんですけどねー。
shinzoさん、ご返答ありがとうございます。フード買わなくちゃ! そして、三脚を楽に運べる手段を考えなくちゃ。参考になりました!!
ReplyDeleteDear Sir, congatulations to your wonderful work with the Sigma DP3M. I love photography myself and I was researching photos taken with the DP3M because I want to buy one myself. At the moment I'm selling all my gear to buy the DP1M and DP3M - many don't understand why - reckon it's the love of being serious about photography why I'm doing it. Anyway your work inspired me to go on with my path with Sigma and not listen to many of the restricted thoughts people have out there.
ReplyDeleteKind Regards,
Martin Graf
martin san, thank you for your comments!!
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