Friday, October 10, 2003

what is design

色々な人に「デザインとはなんですか」と聞かれる。取材などを受けた時などにも必ずと言ってもよいほど聞かれる。それも「では最後にお聞きします」だ。もちろん一生懸命まじめに答える。セミナーや講演後の懇親会などで同じような質問をされると、ついさっきまで話してたでしょーが、と、失望というか無念というか残念な思いをすることも少なくないのだが、一生懸命答えて理解されようと努力する。昨日のカンファレンス後も何人かに聞かれて答えた。だが、その僕の「まじめな回答」は、実は質問者が期待したものではないようだ、ということに昨日気づいた。

この質問に何十回も答えているうちに、彼らが求めているのは、実はなんとなく格言的なことなのだと気づいたのだ。問いかけは、彼らにとっての「デザインがなにか」ではなく、何か持って帰りやすいお土産パック形式の答えだったようだ。馬鹿だった。気づくのが遅すぎる鈍感野郎だった。以前、菊川玲ちゃんの番組に出た時にもそれを問われたが、その時に気づくべきだったのだ(遠い目)。だけど音楽などとは違ってデザインは格言にするようなことはないのではないかと思っている僕は、それにどうにもうまく答えられないデザイン馬鹿なのである。

こんな戯言を書いてしまうのは短いひとことでデザインとはなにかを言い切ることが出来ない自分への言い訳なのだが、要は黒子でいいじゃんってことでもある。たとえば誰もが立ち止まる「止まれ」の逆三角形の標識。それはデザインの語源であるデ・サインそのもののようなものだが、それを誰が作ったかは誰も知らない。つまり、デザインは自己主張ではなく、それがどのように社会に貢献したかが本来の役目なのであって、時代時代にデザインという手法で何かを果たそうとした結果、別の価値が出たり、皆に愛されたりするものなのではないか、と思うわけだ。

さて、ここまで書いて、ちょっと間をおいて夢想してみた。そして、ふと言葉の形を伴って自分の口を突いて出たのはこれだった。「人が持てた魔法のひとつ」。どうだろうか。なんとなく言いえた感じはあるけれど。はいはい。イケてないのはわかってるってば。また思いつくだろう。

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